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誰にも伝わる情報発信に関する調査研究

[2017年3月30日]

報告書について

調査研究の成果をまとめた報告書については、右側のリンクからご覧いただけます。

調査研究の概要

自治体から住民に向けて発信する情報は、住民の生活、生命や健康、財産に関わることや行政施策に関すること等、多岐にわたります。

これらの情報を住民に確実に伝えることは、自治体の責務であり、住民からの信頼を得るためにも必要です。特に、情報の受け取りに弱点を抱える人(外国人、障害者、独居高齢者等)への情報伝達など、「すべての人に伝わるユニバーサルな情報発信」が求められています。

加えて、住民から選ばれる自治体を目指すこと、問い合わせ等の減少により業務の効率化につながること等の観点からも、情報をわかりやすく発信することの重要性は増しています。

本調査研究では、情報が住民に確実に伝わるようわかりやすく発信するための取組手法を、先行研究や先進的な取組から学び、市町村職員に提示しました。

1.多摩・島しょ地域における市町村から住民に向けた情報発信の現状

(1) 自治体の取組

◆多摩・島しょ地域市町村のわかりやすい情報発信への取組状況
【多摩・島しょ地域の39市町村へのアンケートから】

  • わかりやすい情報発信に努めているが、わかりやすくするための基準作りには難しさがある
  • 取り組みやすさは業務分野ごとに異なり、また職員間にも意識の差がある
  • 情報量の削減、平易な用語の使用、デザインの工夫などに取り組んでいる

(2) 情報を受け取る住民の認識

◆多摩・島しょ地域に居住する住民の、市町村から発信される情報についての感じ方 
【多摩・島しょ地域住民アンケートから】

  • 住民の4人に1人は、市町村から発信される情報をわかりにくいと感じている
  • 情報を受け取る頻度、年代等によりわかりやすさの感じ方は異なる
  • 複雑な制度や専門用語の多い情報は、わかりにくいと感じている
  • わかりにくさの理由は、情報量の多さや重要度(優先度)の不明確さ、デザイン、内容の難しさ等
わかりやすい、どちらかというとわかりやすいの計75.4%、わかりにくい、どちらかというとわかりにくいの計24.6%、サンプル数9885

住んでいる市町村からの情報のわかりやすさ

◆高齢者、障害者、外国人等が情報の受け取りに感じる困難さ
【当事者やその支援団体、有識者のヒアリングから】

  • 高齢者には大きな文字、視覚・聴覚障害者には点字・手話、知的障害者にはひらがなやフリガナ、外国人には英語といった対応のみでは不十分
  • 情報の受け取りに関する困難さは、人により様々である。支援の必要度合いで考えることが必要であり、有効である。

2.わかりやすい情報発信の先進的取組

市町村が住民に情報をわかりやすく発信していくうえで抱えている問題点に対し、解決策の参考となる先行研究や取組を紹介します。

(1) 減災のための「やさしい日本語」

  • 災害時に外国人にもわかりやすい日本語で情報を伝える
  • 平常時から「やさしい日本語」に慣れるため、生活情報をわかりやすく言い換えるための「用字用語辞典」作成
  • 広範囲な対象や分野へ派生
減災のための「やさしい日本語」で文章を書く方法
減災のための「やさしい日本語」 12の規則     (抜粋)

●一文を短くして文の構造を簡単にします。文は分かち書きにしてことばのまとまりを認識しやすくしてください

●災害時によく使われることば、知っておいた方がよいと思われることばはそのまま使ってください

●カタカナ・外来語はなるべく使わないでください

【弘前大学人文社会科学部社会言語学研究室:減災のための「やさしい日本語」ホームページから】

(2) 公文書の書き換えを行う「やさしい日本語」

  • 日本で暮らす外国人の増加を背景に、日本語学習を保障する最低限の文法等を提示
  • 様々な言語を母語とする外国人同士や、地域における外国人と日本人との共通言語としての「やさしい日本語」
  • 「情報弱者」を含むすべての人に情報を平等に伝えるため、公文書をわかりやすく書き換える
わかりやすい文章を書くための文法や語彙書き換えの基準
 文法上の書き換え基準 (抜粋)

●複合述部は副詞と述部に分ける

●長文はナンバリングや箇条書きにする

 語彙の原則的な書き換え基準と方針 (抜粋)

●漢語やカタカナ語の長い複合語・複合名詞は積極的に分割して書き換える

 【ともに、庵功雄、岩田一成、森篤嗣『「やさしい日本語」を用いた公文書の書き換え』(「一橋大学機関リポジトリ」2011年 から】

(3) 情報のユニバーサルデザイン

  • 情報コミュニケーションの分野におけるユニバーサルデザインへの取組
  • わかりやすさの基準づくり
  • 認証や表彰制度(アワード)による取組への第三者評価
わかりやすさを測る基準
「DC9 ヒューリスティック評価表(ver.3)」   (抜粋)

●情報量:情報量として適正か、許容量を超えていないか

●タスク:ユーザーに要求される行動がわかりやすいか

●レイアウト:認知の導線が自然に設計されているか

【一般社団法人ユニバーサルコミュニケーションデザイン協会ホームページから】

先進的取組の紹介(市町村、民間団体)

上記の(1)~(3)を参考にしながら、各地の自治体や民間団体が、様々な分野でわかりやすい情報発信に取り組んでいます。

報告書では、次の自治体や団体の活動を紹介しています。

  • 青森県弘前市
  • 大阪府堺市
  • (社福)大阪市手をつなぐ育成会
  • 神奈川県横浜市
  • 栃木県宇都宮市
  • 東京日本語ボランティアネットワーク
  • 香川県高松市

多くの取組に共通する要素‐先行研究等から得られたヒント‐

  • 情報の重要度、優先度を判断する
  • 情報量を絞る
  • 文を単純にする
  • 情報を受け取る際の視線や思考の流れを考慮し、行動すべきことを明示する
  • 情報の受け手を考える

3.情報をわかりやすく発信していくための課題とその解決の方策(提案)

課題と方策

課題を3つに整理し、その解決のための方策を提言しました。

  • 職員の取組意欲向上のために ⇒ 取組を動機付けるための研修実施、周囲の共感や取組の評価を得るための仕組みの構築
  • 読み手の立場に立った文書の作成のために ⇒ 具体的な読み手の想定、そのための基準作り
  • 取組を組織内で展開するための体制構築のために ⇒ 統一的な方針や基準の策定と庁内共有の仕組み作り、担当部署の明確化や推進体制の整備

 

わかりやすい情報発信に取り組むために

わかりやすい情報発信のためのチェックリスト

(1)具体的な読み手を想定する

 ◆誰に向けた文章ですか?
○読み手をなるべく具体的に想定する
 例えば、「高齢者」⇒「一人暮らしの高齢者」、「子育て中の親」⇒「初めて子どもを育てる父親・母親」など
○身近な人を思い浮かべるとより想定しやすい
○「広く一般的にすべての住民に届けたい」場合であっても、より具体的な人を想定する
 例えば、より情報を届ける必要がある人、情報を受け取りにくい人など
 ◆読み手の目線になっていますか?
○受け取った人が読むときの状況を考える
○受け取った人が読むときに必要とする支援を考える
○その文章は、自分や家族が読んだ時、疑問なく理解でき、行動することができるかを考える

(2)必要な情報を精査する

 ◆読み手は何を必要としていますか?
○読み手が初めに知りたいことは何かを考える
○読み手が最も知りたいことは何かを考える
○自分が伝えたいことよりも、読み手が知りたいことを先に書く
◆読み手は何をしようとしていますか、何をしてほしいですか
○読み手の自然な思考の流れに合わせた順序で書く
○読み手がとるであろう、またはとってほしい行動に合わせた順序で書く
 ◆詳細な情報が必要ですか?
○伝えたいことの優先度を整理する
○読み手にとって必要のない情報は記載しない
 例えば、制度の目的や全体の説明が、読み手にどの程度必要な情報か考える
 また、根拠となる法律や条例などは読み手に必要な情報かどうか考える
○読み手のすべての人が、詳細な情報を必要としている訳ではない。記載する情報を精査する
 例えば、詳細な情報を知りたい人には、公式ホームページなどを準備し誘導する
 (3)表現方法を再確認する
 ◆複雑な文章になっていませんか?
○一文を短くする
○一文には一つの内容(情報 )
○二重否定を使わない
○不必要な語や繰り返しの表現はやめる
 例えば「または」「および」などは「や」「と」「句読点」などに置き換える
 ◆もっとわかりやすくする方法がありませんか?
○箇条書きなどを活用する
○番号を付けて、思考や行動の流れを示す
○文章では伝わりにくいものは、図・表を活用する(ただし、視覚障害者への配慮を忘れずに )
○具体例や見本などを示す
○尊敬語や謙譲語を使わず、丁寧語のみを使用する

◆難しい用語を使っていませんか?
○ふりがなを振る。
○行政用語や専門用語は平易な言葉に置き換える
○制度上の用語などそのままの使用が必要な場合は、平易な言葉で別に説明する
○カタカナ語・外来語は、できる限り日本語で言い換える
○日本の文化を理解していなくても意味が分かる単語か考える
○辞書で引きやすい単語に言い換えられないか考える

◆見た目が読みづらくなっていませんか?
○読み手の状況に応じて、文字の大きさを変える
○行間は適度に空ける
○字体(フォント )の種類を工夫する
○複数の色を使用している場合、白黒で印刷しても識別できるか確認する  

 (4)読み手の立場に立って文章を見直す
◆すぐにわかる文書になっていますか?
○読み手の立場(気持ち)で文書を読み返す
○文書を読んで、実際に行動してみる。
 ◆独りよがりの文書になっていませんか?
○職場の同僚や上司に読んでもらう
○文章に沿って自分で行動してみる
○当事者や対象者に近い人に読んでもらい、実際に行動してもらう
組織的取組における、わかりやすい情報発信の基準作りの目安
 (1)部署として取り組むための姿勢
◇マニュアルではなく、考え方の基準を作る
◇正解も唯一絶対の方法もないので、基準に縛られることなく常に見直す姿勢を持つ
◇情報の精査を通して業務への理解を深められるという利点があることを理解する
 (2)読み手の想定のために
◇部署内で共有できる読み手をいくつか設定する
◇部署の業務に合った読み手を想定する
(3)情報の精査のために
◇読み手が求めているもの、読み手にしてほしいことを確認する
◇最も伝えたいこと、その次に伝えたいこと、など情報の順位付けをする
◇できれば用紙の大きさや枚数などを制限し、情報量を多くしない方法を採る
 (4)文章表現やデザインなどの取組のために
◇想定した読み手に合わせて、重視すべき点を選ぶ
 (一文には一つの内容、箇条書き、文字の大きさと行間、などから)
◇専門用語の扱いについては、その部署での基準を作る
  (5)読み手の立場での見直しのために
◇見直すための方法を決めておく 

問合せ

公益財団法人 東京市町村自治調査会 調査部

電話: 042-382-7722 ファックス: 042-384-6057

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