日本における火葬の割合は99.9%と世界でトップの火葬率です。現在、多摩・島しょ地域では17の火葬場が存在しますが、季節によっては、死後から火葬に至るまでに 7日間も待機せざるを得ない利用状況の施設もあります。今後、団塊の世代が平均寿命に達するころには、火葬までの待機日数がさらに長くなることが想定され、火葬場の不足が現実味を帯びてきます。
本調査研究では、現在多摩・島しょ地域に設置されている火葬場の現況及び需給状況を把握するとともに、他県等近隣地域の火葬場の現況及び多摩地域の葬祭業協同組合などに対して、アンケートやヒアリング調査などを行い、その結果を基に課題を洗い出し検証し、火葬場のあり方について検討しました。
(1)死亡者数への対応
死亡者数の増加に対応するためには、火葬炉数を増やして回転数を上げる必要があります。しかし、火葬場は「告別」「見送り」「拾骨」などの葬送行為により、遺族が亡くなった方とお別れをする場所である(単なる焼却施設ではない)ことにも配慮が必要です。本調査研究では、各市町村の住民の利用が想定される火葬場ごとに、将来必要とされる火葬炉数(回転数のパターン別)を算出しました。また、各市町村が整備目標をたてることができるよう、回転数別の運営状況のシミュレーションと留意点を示しました。
(2)災害時の対応
災害時は、遺体の安置場所及び搬送方法の確保の検討をしたり、平時よりも火葬炉の回転数が高い状態が続くため、普段からメーカーによるバックアップ体制を構築しておく必要があります。また、周辺自治体との連携も視野に入れておく必要があるため、相互協力の協定の締結も考えておかなければなりません。
多摩・島しょ地域における火葬場の需給及び運営に関する調査研究報告書 概要への別ルート