報告書について
調査研究の成果をまとめた報告書については、右側のリンクからご覧いただけます。
調査研究の概要
(1) 調査の目的・方法
日本全体として少子化は喫緊の課題となっています。婚活イベントの開催や新婚世帯への各種費用助成等、結婚支援に取り組む自治体は増加傾向にありますが、実際に事業として実施している自治体は、全国でも半数程度にとどまっています。
結婚支援の実施は、地域資源を活用する事で地域の魅力の認知を高め、持続的発展が可能な都市にするためのさまざまな方策のうちの1つと考えられます。
そのため、地域活性化のための1つの方策として結婚支援を検討することで、地域活性化や少子化対策等の推進に寄与することを目的として、本調査研究を実施いたしました。
(2) 結婚支援に関する取組の現状
結婚支援を取り巻く環境
- 合計特殊出生率は全国平均1.45(2015年)だが、東京都は1.24と全国で最も低い
- 未婚化・晩婚化が進んでおり、50歳時点の未婚割合は男女ともに上昇している
- 「いずれ結婚するつもり」と考える未婚者の割合は8割以上と高いが、適当な相手にめぐりあわないことが独身の理由
- 男性は就労形態によって配偶者がいる割合が異なり、正社員以外の不安定な就労形態は結婚しにくさとつながっている
- 厚生労働省の意識調査によると、自治体による結婚支援については、約6割が結婚について何らかのレベル(積極的に取り組むべき、ある程度は取り組むべきの2つ)で公的な支援に取り組むべきと回答し、最も必要な取組として「出会いの機会・場の提供」を挙げており、住民ニーズは明らかである
国や東京都の取組
- 国では希望出生率1.8の実現に向けて「ニッポン一億総活躍プラン」を策定し、定量的な評価指標を設定している
- 東京都では、結婚を希望しながらも、一歩を踏み出せないでいる都民の後押しをするため、結婚に向けた機運の醸成に取り組んでおり、情報提供やきっかけづくりを中心にさまざまな取組(イベントの開催、ウェブサイト立ち上げ等)を実施している
(3) 多摩・島しょ地域における結婚支援を取り巻く現状
自治体アンケート
- 結婚支援を実施している団体は全体の約4割
- 結婚支援を実施するための課題としては、「効果検証が難しい」「職員の知識・理解やノウハウが不足している」「支援が必要な対象者の積極的な参加が得られない」が上位に挙げられる
- 他自治体と連携しているのは3団体
- 公的な結婚支援については、約4割が「積極的に取り組むべき」又は「ある程度は取り組むべき」と回答
住民アンケート
- 「いずれ結婚するつもり」と回答した未婚者又は離別者の割合は、男性20代(80.0%)及び女性20代(76.7%)で高くなっている
- 自治体が実施する事業への参加・利用状況としては、婚活イベント及び経済的支援の割合が高い(特に30~40代男性(既婚・死別))
- 公的な結婚支援について、「積極的に取り組むべき」は男性30代(既婚・死別)、「ある程度は取り組むべき」は女性40代(既婚・死別)が高い一方、「公的な支援に取り組む必要はない」は男性50~60代(未婚・離別)で高くなっている
(4) 多摩・島しょ地域の自治体における結婚支援に対する提言
自治体による結婚支援は、多様な価値観を持つ多くの人々の希望を叶えることを目指すものであり、さまざまな背景を有する参加者が出会い、結婚に至るだけでなく、参加したことで何かしらの気付きといった得るものを提供する場とすることが肝要である。