基礎自治体によるオープンデータ化と利活用の可能性に関する調査研究
[2017年3月31日]
全国的な人口減少・少子高齢化の進展、自治体の財政状況の悪化が懸念される中、国・自治体等が保有するデータ(公共データ)のオープンデータ化と利活用が、地域課題の解決や行政の効率化、官民の協働につながると期待されている。一方で、自治体のオープンデータの取組はまだ模索段階にあり、その課題は、取組にかかる負担や労力、また、それに見合うメリットに自治体の納得が得られていないこと等にあると考えられる。
本調査研究では、オープンデータ化や利活用を促す活動等にかかる負担を乗り越えるための自治体にとっての取組意義・メリットを検討し、将来的な技術革新も見据えた、オープンデータの取組のあり方について提言する。※平成28(2016)年7月に実施のアンケート調査結果(回答日時点)に基づく
取組ステップ | 課題 | 取組方策 |
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取組を始めるための準備 ~円滑な取組を支える土台づくり~ |
(1)効果的・効率的に導入・運用するための情報及び知識の習得 | 公開されている手引書等の有効活用 |
自治体やその他機関との連携による取組の推進 | ||
(2)オープンデータ化する目的・目標に応じた取組方針の設定 | 取組により目指す目的・目標の明確化 | |
取組方針の策定と庁内での意識共有 | ||
(3)取組の担い手確保と体制づくり | 庁内横断的な体制の整備 | |
オープンデータ化の実施 ~継続的に取り組める仕組みづくり~ |
(1)保有するデータの洗い出しと整理 | 業務フローと合わせた実態把握 |
利活用ニーズの把握 | ||
利活用ニーズを視野に入れた、データの選別とオープンデータ化の優先順位付け | ||
利活用しやすい形式及び様式によるデータ整備 | ||
データ化にかかる作業負荷の低減 | ||
(2)オープンデータとすることの可否等に関する法、制度の整理 | データ洗い出し時の関連法、制度の確認 | |
(3)全庁的な協力を得るための 職員理解の醸成 |
庁内説明会やアイデアソン等を通じた協力体制づくり | |
(4)オープンデータの提供場所(ホームページ、専用ポータル等)の準備 | 情報管理の方法、システム改修のタイミングに合わせた提供場所の整備 | |
(5)継続的なデータ更新 | データの更新、運用作業の負荷軽減 | |
情報更新にかかるルール等の設定 | ||
利活用に向けた準備 ~適切な利活用に繋げる基盤づくり~ |
(1)二次利用ルール等の作成 | 既存の規約やライセンスに基づいたルールの作成 |
(2)オープンデータ化による自治体にとってのデメリットへの対策 | オープンデータ化に伴うリスクと対応策の整理及びデータ提供者の責任範囲の明確化 | |
(3)オープンデータを利活用できる人材の確保 | 職員の情報分析能力の向上と業務や政策立案におけるデータの活用 | |
利活用の促進 ~期待する効果を引き出すための仕掛けづくり~ |
(1)オープンデータを活用したサービス、アプリケーション等の利用普及 | 利活用を促すための周知活動 |
利活用に資するデータの量・質の確保 | ||
(2)取組の担い手となる外部機関との連携、取組体制の構築 | 情報管理・活用の担い手となる中間的組織の設立 | |
ビジネス育成組織の設立 | ||
シビックテックの推進 | ||
(3)PDCAサイクルによる、提供データ・提供方法等の見直し・改善 | オープンデータ化にかかる業務の問題点やデータの利活用状況を踏まえた取組改善 | |
(4)利活用促進に向けた自治体間の連携 | 広域での取組テーマの設定と自治体間連携の枠組みづくり |
本調査研究の期間中にも、自治体のオープンデータの取組に関わる様々な動きがみられ、自治体におけるデータの利活用と利活用を促進するためのデータ整備は、「官民データ活用推進基本法」の施行を受けて、広く自治体に求められる取組となっている。また、データ利活用を取り巻く技術革新には、国も重点も置いており、今後さらなる進展が期待される。自治体においては、これらの動向を踏まえつつ、数年後の自治体業務や公共サービス、まちづくりを見据えて、データ利活用及び利活用に向けたオープンデータを含むデータ整備のあり方を検討することが望ましい。
一方、各自治体が、現在のオープンデータの取組状況を把握し、目標とするレベルに到達するために必要な方策に段階的に取り組んでいくことが、取組の着実な推進につながると考えられる。
報告書の最後には、各自治体が現在の取組状況と目標レベルに応じて必要なエッセンスを参照できるよう整理している。
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