調査の概要
調査研究の背景・目的
・人口減少・少子高齢化を迎え、多くの地域において過疎化が進み、社会資本の喪失や地域の活力の低下が起こっている。また、東京島しょ地域においても、平成17年の人口をピークに減少に転じており、定住化を進め、地域経済等を維持していくことが求めらている。
・このような背景を踏まえ、全国で行われている事例などから定住促進の課題や効果等を整理するとともに、居住・雇用・教育・医療等、移住を考える上で不可欠な分野に着目し、どのような対策を講じていくことが効果的・効率的なのかを明らかにした。
・本調査研究では定住を緩やかに捉え、継続的な居住に至る一時的な移住や短中期の滞在も視野に入れ、島しょ地域に定住を希望す層(ターゲット)やその生活像(定住可能性)を幅広く想定した。
島しょ地域の定住に関する現状と課題
自治体から見た現状
・自治体の移住・定住における取組状況では、本土の類似自治体のほうがやや先行して定住促進に取り組んでいる傾向であった。しかし、今後の意向として、約8割の自治体が「何かしらの形で移住・定住促進には取り組みたい」と回答しており、全国的に移住・定住促進の取り組みが加速していくと考えられる。
島外居住者から見た現状
・島暮らしへの意向については、実際に島に興味や関心がある人の方が、島暮らしを考えたことがある傾向が強かった。
自治体アンケート調査と島外居住者の間のギャップの比較整理
・移住・定住に関するハードルとして、「住まいの確保」「就労の場の確保」「事故や災害時の体制」「医療体制」「生活物資の調達」について、自治体が考えているハードルと島外居住者が考えているハードルにギャップが発生していた。
・移住・定住の期間について、多くの自治体では「継続的な居住」をターゲットとしているのに対して、移住希望者へのアンケートではそれぞれ3~4割が「短中期の滞在」や、「一時的な移住」を希望しており、希望する移住・定住の期間についてもギャップが見られた。
東京島しょ地域における移住(定住)促進の可能性
・アンケート調査の結果から、ファミリー層や永住のみをターゲットとしていくことは難しく、単身若者が島内で家族を築くということも視野に入れ、長期的視点でターゲットを捉えていくべきである。また、リタイア層においても新規の雇用を必要とせず、人口増や税収増に貢献してくれるという点では、ターゲットとしていく価値はあると考えられる。そのため、以下の3つのモデルを想定して施策を提示した。