報告書について
調査研究の成果をまとめた報告書については、右側のリンクからご覧いただけます。
調査研究の概要
1 自治体における情報分野の人材を取り巻く状況
- 2018年4月に公表された「自治体戦略2040構想研究会第一次報告」では、人口減少が進む2040年ごろにはさらに少ない職員数での行政運営が必要になる可能性を指摘。
- また、ICTの利用によって処理できる業務はできる限りICTを利用するという、ICTの活用を前提とした自治体行政を展開する必要性についても記述。
- これらのことから、2040年頃の自治体においては、情報主管課のみならず業務主管課においても情報分野の専門知識が必要になる可能性が大。
- 一方で、官民問わず情報分野の技術や専門知識を持った労働力は不足。
- 自治体はこれからの働き方を見据え、組織に必要な人材をどのように確保していくか検討する必要がある。
<IT人材需給に関する主な試算結果>
2 自治体における現状
自治体アンケートから得られた示唆
- ICT活用にかかる人材面での課題としては、人材の確保・育成に関する課題意識を示す自治体が多い一方、取組予定がない自治体が多い。
- 外部人材確保の課題は、人材の発見、業務の整理、適切な報酬の支払いが多い。
<ICT活用にかかる人材面での課題>
職員アンケートから得られた示唆
- ICTを業務に活用したいと考えている一方、導入のみならず、事前検討や計画立案、仕様検討・調達にも難しさを感じている。
- 業務における必要性・有用性から、不足しているICT関連の能力・について会得したいと考えている。
- セキュリティ研修に偏重し、職員が必要とする実践的な内容の研修が提供されていない。
<ICT技術の新規活用意向>
3 ヒアリング調査
前記アンケート結果を踏まえ、情報分野のスキルを有する人材の確保に取り組む先進事例へのヒアリングを実施。
ヒアリング調査から得られた主な示唆 対象団体 | 事例概要 |
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長野県 | 採用する職員のキャリアパスモデルを作成した上で、「デジタル」区分の採用活動を開始 |
会津若松市 | 現場において初期対応を行う「ITリーダー」、情報化に携わりたい職員の意思を可視化し場を提供「情報化人材登録制度」 |
千葉市 | 職員採用試験に事務(情報)区分を設定・外部人材採用を工夫 |
金沢市 | 全職員を対象としたデジタルスキル強化研修の実施 |
ヤマトHD | 全社員が受講できる研修プログラムを新設 |
エン・ジャパン | 自治体と伴走する採用支援サービスの提供 |
地方公共団体情報システム機構(J-LIS) | 自治体職員向けの研修サービスの提供 |
4 自治体職員に求められる情報分野のスキル獲得に向けた提言
- 自治体内での役割分担によって異なる場合もあるが、情報主管部署のみに依存するのではなく、各業務主管部署の職員にも情報分野のスキルは求められる。
- IT分野に係る固有の専門性を有していることで、IT事業者との議論を対等に行うことができ、最適なITツール・システムの導入・活用につながることが期待される。
- 具体的な施策の方向性としては、「専門性を有する人材の採用」、「専門性を有する人材の育成」、「専門性を有する人材の待遇向上」、といった方向性が考えられる。これらの施策は、単一の取組ではなく、統合的な取組として実施していく必要がある。
<専門性を有する人材確保施策の方向性>
- IT分野の専門性を有する人材は官民問わず不足している。国家資格等を参考に、職員は社会全体で求められている水準の情報分野の専門性を身に付けていくことが必要である。
- 高度な情報分野の専門性を持つ人材を各世代・職位問わず確保していくため、現在のスキルレベルに応じ、徐々に情報分野のスキルアップを図ることが望ましいと考えられる。
- デジタル社会が進展するにつれて、社会全体の水準が変化し、職員に求められる最低限のスキルレベルも徐々に難易度が高く変化していく可能性を考慮する必要がある。
<職員に求められるスキルレベル>
多摩・島しょ地域における情報分野の専門性獲得に向け、自治体における専門性を有する人材の採用・育成・待遇向上を実現するため、以下のような取組施策を実施することが求められる。
<情報分野の専門性を有する人材確保に向けた施策>