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基礎自治体におけるブロックチェーン技術の活用に関する調査研究

[2022年3月30日]

報告書について

調査研究の成果をまとめた報告書については、右側のリンクからご覧いただけます。

調査研究の概要

ブロックチェーンの概要

ブロックチェーンとは

  • ブロックチェーンとは、情報通信ネットワーク上にある端末同士が直接接続してやり取りを行い、その記録を分散的に処理・記録できるデータベースである。
  • ブロックチェーンには、モノの受け渡しなどで発生したやり取りの記録(以下、取引等データ)が保存される。暗号化された取引等データが一定量溜まると1つの「ブロック」にまとめられ、時系列順に一本の鎖(チェーン)のようにつながる構造である。
  • ブロックチェーンによるデータベースは、従来のデータベースと異なり、中心となるサーバがない。ブロックチェーンの参加者全員が同じデータを共有・同期している。そのため、1人の参加者のデータが破損・紛失したとしても、他の参加者によって補完することが可能であり、データ喪失リスクの低いデータベースを構築することができる。
ブロックチェーンのイメージ図
従来とブロックチェーンによるデータベースの違い

ブロックチェーンの3つの特徴

(1)耐改ざん性に優れている・・・全員で同じデータを共有しているため、悪意のある者が自身のデータを書き換えても、他者と一致しないため、事実上改ざんが不可能

(2)履歴の追跡ができる・・・ブロックチェーンに記録されたデータは、時系列順に全て保存されているため、過去にどのようなやり取りがあったのかを、遡って確認することが可能

(3)データを全員で共有できる(透明性が高い)・・・参加者(ノード)全員が同じデータを共有している(分散して保存している)ため、透明性の高いやり取りが可能

ブロックチェーンの特徴のまとめ

先進事例調査

先進事例調査の概要

先進事例調査の概要

 

調査対象

活用事例

自治体

福岡県飯塚市

住民票等各種証明書のデジタル化

熊本県熊本市

行政文書を安全かつ透明性の高い情報として公開

佐賀県佐賀市

ごみ発電電力の地産地消による環境価値を電子証書化

石川県加賀市

マイナンバーカードとブロックチェーンを活用した行政サービスの提供

福島県磐梯町

地域商品券をスマホアプリによって発行

民間企業

NTTテクノクロス株式会社

沖縄の交通系ICカード「OKICA」を活用したMaaSデータプラットフォームの構築

株式会社INDETAIL

北海道・厚沢部町での地域通貨「ISOUコイン」

xID株式会社

 

マイナンバーカードを利用した「xIDアプリ」を石川県加賀市や滋賀県日野町等へ提供

株式会社電通国際情報サービス

宮崎県綾町等での有機野菜のトレーサビリティ

海外事例

エストニア

法律文章の管理、ヘルスケア関連のデータ管理システム

ノルウェー

水産物におけるトレーサビリティ

オーストラリア

グリーンマンションを活用した電力取引

アルバ

新型コロナウイルス陰性デジタル証明

オランダ

年金管理

韓国

新型コロナウイルスワクチンの接種証明

先進事例調査によって見えてきたこと

<ブロックチェーンの利用方法>

(1)第三者への証明として利用

(2)移動履歴を追跡して記録を残すことに利用

(3)広域的な共有として利用

(4)新たな経済付加価値に利用

<ブロックチェーンの構築・運用の傾向>

  • 調査した自治体では、「コンソーシアム型」又は「プライベート型」で導入
  • 運用保守は自治体職員ではなく、構築ベンダーやサービス提供ベンダーが実施
  • 利用者は一般的なサービスやシステムの感覚で利用可能
  • 導入コストは構築ベンダー等が負担し、自治体はフィールドを提供している事例が多い

<ブロックチェーンの採用を阻む課題と解決策>

  • ブロックチェーンを理解することの難しさ ⇒ 技術的内容よりも「何ができるようになるか」を理解する
  • 技術者が希少なこと等による導入費用の高額さ ⇒ 技術が一般化することへ期待、複数自治体で連携し広域で調達する

自治体アンケート調査

ブロックチェーンの認知状況及び活用状況

  • 半数以上の自治体がブロックチェーンの内容を把握していない
  • ブロックチェーンを現在利用している自治体は存在せず、「検討を行ったことがない」自治体が大多数を占める
ブロックチェーンの認知状況と活用状況

ブロックチェーンの検討をしたことがない理由

検討を行ったことがない理由としては、ブロックチェーンに関する知識不足や具体的な利用イメージが湧かないことが主な要因である。

ブロックチェーンの検討をしたことがない理由

多摩・島しょ地域におけるブロックチェーンの活用可能性

ブロックチェーンが自治体へ提供する機能

ブロックチェーンが自治体に提供する機能は、「証明」「移動履歴の記録・追跡」「広域行政・共有」「経済付加価値」の4つに集約される。

それぞれの自治体が抱える課題を解決するにあたり、実現する必要のある機能がこれらに含まれる場合、ブロックチェーンを活用できる可能性がある。

ブロックチェーンが自治体へ提供する機能

多摩・島しょ地域におけるブロックチェーンの活用

多摩・島しょ地域の現況・課題とブロックチェーンで実現できる機能を基に、3つのユースケースを作成した。


(1)災害時の支援物資に関するマッチングシステム

災害時の支援物資について、被災者に必要な物資が着実に行き渡るよう、被災者と支援者間での物資のマッチングを行う。

災害時支援物資マッチングシステムのイメージ図

(2)地域エコポイントとJ-クレジットを利用した地域脱炭素の促進

家庭や地域企業におけるエコ活動を促進するため、活動に応じエコポイントを付与。また、国のJ-クレジット制度を活用し、日本全体での二酸化炭素削減に貢献する。

地域エコポイントシステムのイメージ図

(3)地域貢献の可視化と共有

個人が実施したボランティア活動を可視化。ボランティア同士で共有することで新たな繋がりの醸成や、住民同士での助け合いのきっかけを作る。

地域貢献可視化システムのイメージ図

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問合せ

公益財団法人 東京市町村自治調査会 企画調査部 調査課

電話: 042-382-7722 ファックス: 042-384-6057

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