鉄道、バス、タクシーなどの地域公共交通は、地域住民や観光等で地域に訪れた人にとって、必要な移動手段です。
しかし、近年、人口減少やライフスタイルの変化などによる利用者の減少のほか、運転手不足や運行コストの上昇などに伴い、運賃の値上げや減便、路線廃止が検討されるなど、地域公共交通を取り巻く環境は厳しさを増しています。
こうした状況に対して、自治体として限られた財源のなかでいかに対応するかが課題となっています。
本調査研究では、地域住民等の移動手段の確保や利便性の向上を念頭に、国や東京都等の交通・観光分野の支援策の取組状況を整理した上で、自動運転車やデマンド交通の導入など先進的な取組をする自治体の事例を調査し、持続可能な地域公共交通の検討に資することを目指します。
2017年度調査研究『多摩地域における都市農業の保全と振興に関する調査研究』では、市街化区域内農地を中心に都市農業の保全と振興に関する提言を行いました。
その後、農地法等の一部改正によって、耕作放棄地における対策が強化されるなど、自治体には地域住民、農業委員会、農地中間管理機構などの多様な主体と協働した対応が一層求められています。
また、農地のあり方においては、地産地消・グリーンインフラ・新たな価値を創造するオープンスペース等の多様な事例も蓄積されています。
本調査研究では、このような前回調査研究からの変化を踏まえ、多摩地域の農地の現状や課題を整理した上で、都市農業の多様な機能に着目した新たな取組を調査し、都市農業の保全はもとより、都市農業を活用したまちづくりの推進に寄与することを目指します。
急速な少子高齢化を伴う人口減少やインフラの老朽化などにより、自治体を取り巻く環境は一層厳しくなっていくことが予想されています。
こうした状況において、様々な地域課題を解消し、ウェルビーイングなまちづくりをしていくために、各自治体には、自治体間での協働はもとより、地域社会を支える住民組織、企業、大学等の多様な主体とも協働し、貴重な資源を効果的に活用した広域的な取組を展開していくことが期待されます。
本調査研究は、昨年度に引き続き、多摩大学総合研究所と共同して、変化が著しい社会情勢を踏まえ、将来を見据えた上で、多摩・島しょ地域自治体の特性を活かした、多様な主体との広域的な協働のあり方について、提案することを目指します。